【Titan解説】ソフトウェアミキサー解説【後編】

DTM

TitanをはじめとするPrism Soundのインターフェースのフロントパネルには電源スイッチとボリューム以外の操作子が無く、すべての設定やコントロールはソフトウェアミキサーから操作します。前編に引き続きTitanを例にPrism Soundのソフトウェアミキサーの使用方法解説となります。後編の今回は出力コントロールを中心に解説いたします。

フロントパネルとの連動

前編の繰り返しとなりますが、フロントパネルと連動する部分を解説いたします。

Prism Sound Titanでは本体フロントパネル部分にPre/Lineインジケーター、Analog/Digital I/OメーターとOver Killerインジケーターが配置されています。これらの表示はソフトウェアミキサー側、または自動で表示が切替わる仕様になっています。

Titan フロントパネル

入出力メーターの切替

入出力の情報を手軽に確認できる本体のメーターですが、Prism Soundのインターフェースではインプット表示とアウトプット表示をソフトウェアミキサー側の【FP Meters】を切り替えることでフロントパネルの表示が切替わります。

メーターが入力・出力どちらを表示しているかはAnalogメーター横のランプで見分けることも可能です。IP側のランプが点灯している場合には入力メーターが表示、OP側のランプが点灯している場合には出力メーターが表示されます。

アナログ出力コントロール

出力関連のコントロールはソフトウェアミキサーの【Outputs】タブから行います。

Outputs タブには、アナログ出力と S/PDIF 出力のコントロールとステータスインジケータが含まれています。ADATモードでは、ADAT/SMUX出力のステータスもここに表示されます。

アナログ出力

通常、アナログ出力にはホストPCやMacからの個別の信号が直接出力されますが、必要に応じてTitanハードウェア内のローカル・デジタル・ミキサーから出力をアサインすることも可能です。また、出力は他の出力のミキサーに追従するように切り替えることができます。

また、任意の出力にレベルコントロールを割り当てることも可能で、主にモニター・ボリューム・コントロールとして使用することができます。 アナログ出力レベルの設定、出力ミキサーの起動、レベルコントロールの割り当ては、すべてTitan Control PanelアプリのOutputsタブで管理します。

アナログ出力レベル

ライン出力レベルは+4dBuと-10dBVの間で切り替えられます。切替る場合には各チャンネルのボリュームメーター横のボタンで切替可能です。

デジタル出力コントロール

ステレオデジタル出力は、TPDFディザやPrism Sound SNS(Super Noise Shaping)によって様々なワードレングスに設定可能です。

設定できるワードレングスは16bit, 24bit, Super Noise Shaping1 – 4の6種類です。

RCA端子は必要に応じてS/PDIFまたはAES3として動作するよう切り替えが可能です。また、デジタル出力にSRC(サンプル・レート・コンバーター)を設定すれば、同期ソースとサンプルレートを別々に選択することも可能です。

Super Noise Shaping

Super Noise Shapingは高音質な16bit出力が可能で、4つのSNSアルゴリズムは、シェーピングの度合いが高い順にSNS1~SNS4と名付けられています。

SNS1 はかなり高い周波数で限られたノイズリフトの適用にとどまるノイズシェイピングであり、特に素材がかなりノイジーな場合、このタイプのシェーパーが好まれます。

SNS2はノイズフロアの主観的な低下と、適度な高周波ノイズの追加を両立しているノイズシェイピングです。4つのSNSカーブの中でSNS2が最も人気だとのことです。

SNS3SNS4 は「最適」なシェーパー設計で、より多くの高周波ノイズが追加されることになります。このシェイパーは、元の録音が非常に低いノイズフロアである場合にの選択すると有効です。

ボリュームアサイン

モニター音量調整用のレベルコントロールが用意されており、「VOL」ボタンの列を使って任意の出力に割り当てることができます。

VOLボタンがONになっているチャンネルはボリューム・コントロールが有効になり、フロント・パネルのノブとソフトウェアミキサーのVOLノブのどちらからでもコントロール可能となります。

また、VOLボタンがONになっているチャンネルはミュート機能が有効になり、ソフトウェアミキサーのボリューム下にあるMUTEをONにするか、Titanフロントパネルのボリュームノブを押すとミュートが有効になります。なお、レベルコントロールのアサイン変更は、レベルコントロールのすぐ上にあるロックボタン(鍵マーク付き)を押すことで防ぐことができます。ロックボタンを押すと(赤色)、レベルコントロールのアサインが変更されなくなり、誤ってフルレベル出力されるのを防ぐことができます。


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ヘッドホン出力

ヘッドホン出力の信号経路は、Outputsタブの、【Phones】ボタンをONにすることで、ヘッドフォン出力を設定することができます。ヘッドホンボリュームはフロントパネルの専用のボリュームコントロールで調整します。ヘッドホン出力はメインのゲインコントロールに影響されません。

各ステレオ出力ストリップの下にはドロップリストコントロールがあり、各出力ペアはワークステーション(「DAW」)から直接の出力、低レイテンシーミキサーからの出力、あるいは他の出力ペアに関連付けられたミキサーから出力することができます。各ステレオ・ミキサーは、Titanのアナログ、デジタル、ADAT/SMUX入力のいずれかを、DAWフィードと一緒に出力ペアにミックスすることができます。これらの出力モードのドロップリストの上には、その出力ペアに関連するミキサーからヘッドフォン出力をルーティングさせるための専用ボタンが並んでおり、複数の出力ペアを選択してヘッドフォン出力にミックスすることができます。

出力ミキサー ・ ルーティングマトリクス

出力ミキサーを活用すると、Titanのオーディオ入力とDAWソフトウェアなどからのフィードを組み合わせた低レイテンシーモニタリングが可能です。ミックスはローカルで行われるため、ライブオーディオをホストコンピュータに転送して戻す際の遅延がなくほぼゼロレイテンシーでのモニタリングが可能となります。さらに、出力ミキサーをホストのオーディオを介さずに入力と出力をミックスすることができます。アプリでミックスを設定した後、スタンドアローンモードでミックス機能を保持することが可能です。

ミキサーはステレオペア出力事に使用できます。(1-2ch / 3-4ch / 5-6ch / 7-8ch / Digital Out)

Outputタブの下部にある出力セレクターをMixerに設定することで対応した出力のMixerに出力がルーティングされミキサーでの操作が可能となります。

出力チャンネル1‐2のセレクターでMixerを選択するとミキサータブ【AO 1/2】が有効になり、PCから出力チャンネル1‐2に出力されている音声がDAWフィードとしてミキサーにルーティングされます。

DAWフィードの左側にはアナログとデジタルの入力が表示されており、それぞれのフェーダーでモニタリングレベルやパンの調整やミュート、ソロを操作することができます。


上記の説明を簡単な図にすると以下の通りとなります。

DAWの音声がが直接出力にフィードされるこの状態です。ソフトウェアミキサーでの入力モニターができず、入力モニタリングをするためにはDAWのモニタリングを使用する必要があります。そのため入力モニター音声はレイテンシーが発生してしまう状態です。

まとめ

使い始めの段階ではヘッドホンやミキサーへのアサインの部分が少しわかり辛いですが、レイアウトやルーティングマトリクスのデザインはシンプルなので一度挙動が理解できると録音時のモニタリングの設定などが簡単に行えます。基本的には出力がステレオのコンビネーションで固定されているのでその部分の設定などが無い分使いやすくなっているソフトウェアミキサーだといえます。

また、出力のディザリングも多く用意されており、出力される音声の特性に合わせて選択できる点は日非常にユニークで面白いと思います。

多くの楽器や音響機器が値上げしている昨今ですが、この記事の公開時点では一部の販売店で値上げ前の旧価格在庫がまだ残っているようなのでインターフェースの買い替えを検討されているかたはPrism Soundのインターフェースをぜひ検討してみてください。

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