皆さんはPrism Soundというブランドをご存知でしょうか?
Electric TenguではPrism SoundのTitanを新たに導入したのでブランドや製品の紹介、レビューや比較などPrism Soundシリーズ記事を公開してゆきます。
特集記事第一弾の今回はPrism Soundの概要と製品ラインナップなどをご紹介致します。
ブランド 概要
妥協のないサウンドクオリティー基準をもつ数少ないブランドとして知られるPrism Soundは、Rupert NeveでDSPを用いたミキシングコンソールの開発に携わっていたGraham BoswellとIan Dennisの二人により1987年に設立。プロ及びコンシューマーオーディオR&Dコンサルティングエンジニアグループとして活動を開始しました。
製品は測定器や放送用のシステム開発をベースに、信頼性、高い音質、技術をプロ・オーディオの分野に惜しげなく反映したプロダクトは、世界中のプロフェッショナル達から圧倒的な高い支持を受けています。
その後、1992年からオリジナル製品の開発を手がけ始め、現在はハイエンドレコーディング&マスタリング分野において標準となるアウトボード、測定器及び測定用ソフトウェアメーカーとなり、現在最も成功と信頼を得ているメーカーのひとつです。
Prism Sound製品は、ジョージ・マッセンバーグ氏をはじめとする数々の著名なエンジニアやプロデューサーからも高い支持を受けており、世界中の音楽スタジオ、映像ポストプロダクション、放送局などで使用されています。
製品ラインナップ
Lyra 1 & Lyra 2
「Lyra (ライラ)」シリーズはPrism Soundのインターフェースの中でもコンパクトUSBオーディオインターフェースに分類される製品で、プロミュージシャン、ソングライター、エンジニア、リミキサー、
プロデューサー向けのコンパクトプロフェッショナルUSBインターフェースです。搭載される入力ch数でLyra1かLyra2が選択できるようにラインナップされています。
上位機種と同等のサウンドクオリティを誇り、Prism Sound独自の最先端クロック技術による低ジッターのクロック、低レイテンシーモニタリング機能などを搭載しております。
市場想定売価(税抜)
Lyra1:¥251,000
Lyra2:\317,000
▼Lyra1 & Lyra2 スペックTitan
「Titan (タイタン)」はPrism Soundの伝説的インターフェース「Orpheus」の高い音質、パフォーマンス、最先端のクロック技術を継承したUSBオーディオインターフェースです。4 Pre + 4 Line 入力、8 Line出力のベーシックな構成となっており非常に使い勝手の良いモデルとなっています。
また、MDIO(Multichannel Digital Input and Output)拡張カードスロットを搭載。
Pro Tools | HDXカードを挿入することにより、Protools | HDXシステムとの直接接続が可能になります。DANTEモジュール用カードを挿入することにより、DANTE接続が可能になります。
最大4台を2台のHD I/Oとしてエミュレートし、8ch I/O x 4 = 最大32ch I/Oとして使用することもできます。
Electric Tenguにて導入したモデルはこのモデルになり、次回からはこのモデルを中心にレビューなどを行ってゆきます。
市場想定売価(税抜)
Titan:\440,000
▼Titan スペックAtlas
「Atlas (アトラス)」はPrism Soundの8chオーディオインターフェースの最上級であり、「Titan」では4基だったPreampを8基搭載したモデルです。「Titan」同様「Orpheus」の高い音質、パフォーマンス、最先端のクロック技術を継承したUSBオーディオインターフェースです。
MDIO(Multichannel Digital Input and Output)拡張カードスロットを搭載。
Pro Tools | HDXカードを挿入することにより、Protools | HDXシステムとの直接接続が可能になります。
DANTEモジュール用カードを挿入することにより、DANTE接続が可能になります。
市場想定売価(税抜)
Atlas:\522,000
▼Atlas スペックPrism Soundのテクノロジー
CleverClox
Prism Sound 独自の “CleverClox” 2段階DPLL回路を用いた高品位のクロックにより、ジッターが非常に低く高精度なクロックを生成します。ワードクロックの入出力も可能です。
Prism Sound 独自のCleverCloxクロック技術を用いて安定した精確なクロックをソースとするように、また受信クロックの品質に影響されないように設計されています。どんな同期ソースが使われてもサンプリングジッターの影響が音に現れないように,ジッターを除去する設計になっています。
この技術は,狭帯域クオーツVCO を必要とせずに選択されたクロックソースからのジッターをサブソニック周波数に至るまで除去するというものです.CleverClox は周波数を問わず,またジッターの量にも関係なく,どんなリファレンスにも適応可能で,極めて安定度の高い変換精度を実現しています。
つまり、効果の高いジッター除去回路である”CleverClox”を搭載しており、Localのクロックはもちろんのこと、外部のクロックソースから受信したジッターの多いクロックでも安定した音の良いクロックにすることができます。これにより、Prism Soundのインターフェースの高い音質が保たれています。
Super Noise Shaping & SRC
Super Noise Shaping搭載のPrism Sound製品ではディザリング処理とノイズシェーピング処理を「フラット」なディザリングと4 種類のPrism Sound「SNS」(Super Noise Shaping)アルゴリズムの5種類から選択することができます。4 つのSNS アルゴリズムにはSNS1 ~ SNS4 のラベルが割り当てられており,シェーピングの度合いの順で数字が大きくなります。
▼各アルゴリズムの特徴プリアンプ
Prism Soundのインターフェースに搭載されているマイクプリアンプのスペックを技術資料で確認すると歪み率が非常に低いことがわかります。単体のマイクプリの歪み率としては1桁くらい低い印象です。プリアンプの部分に関しては今後実際にスタジオでテストレコーディングを行い他メーカーのインターフェースに搭載されているマイクプリアンプと比較する記事を公開しますのでそちらをご参照下さい。
プリアンプ比較記事→(作成中)
拡張性
TitanとAtlasにはMDIO(Multichannel Digital Input and Output)拡張カードスロットが搭載されています。Pro Tools | HDXカードを挿入することにより、Protools | HDXシステムとの直接接続が可能に、DANTEモジュール用カードを挿入するとDANTE接続が可能になります。
MDIO-DANTEの場合、複数のTitanまたはAtlasをDANTEネットワークに直接接続でき、接続したTitan, AtlasをDANTEソフトウェアを使用し制御することができます。これにより、ネットワーク上の任意のコンピューターや専用のUSBポートを介して制御が可能になります。セットアップ情報を専用ソフトウェアで保存ができるので多くのサードパーティのインターフェースとは異なり、設定をすぐにリコール可能になります。
MDIO-PTHDXの場合、MDIO1枚とTitan, Atlasどちらか1台の組み合わせで8ch I/Oとして使用できます。ループシンクにも対応し、Titan, Atlasを最大4台を2台のHD I/Oとしてエミュレートし、8ch I/O x 4 = 最大32ch I/Oとして使用可能です。
市場想定売価(税抜)
MDIO-PTHDX:¥79,000
MDIO-Dante:\124,000
導入しての第一印象
今回導入したTitanは他メーカーの同クラスのオーディオインターフェースに比べ、とてもシンプルなパネルレイアウトになっており使いやすく無駄を省いた質実剛健な作りとなっており好印象でした。2013年のデビューからのロングセラーモデルであり、変更点はロゴとボディーカラーのみという点からもメーカーの自信が伺えます。
フロントパネル類もシンプルで見やすい一方で、メーターがLEDベースのざっくりしたものであるため、細かなメータリングに関してはソフトウェアミキサーを見なければならないのは少々残念ではあるが、実際のオペレーションでフロントパネルを凝視することはあまり無いと思うのでここは許容範囲だと思います。
詳しい内容は別記事にてカバーしますが、Titanの出音の第一印象は。。。
とてもクリアで分離が良くステレオフィールドで何が起こっているかが手にとるように分かるような音。という文字にすると月並みになってしまいますが、この言葉から想像する数段上の音でした。
Titanでまずはじめに聴いたのが”Jacob Collier – All Night Long”でした。
Jacob Collierといえば壮大なオーケストレーションや心地よいボーカル・ハーモニが特徴的ですが、Titanで聴くとそれぞれのパートの輪郭が違和感なく聴き取れるような感じがしました。目の前にあったカーテンが外されたようなイメージでしょうか。。。
クラブ系の楽曲もチェックしてみました。試聴した楽曲は”Oliver Heldens x warner case – Believe in Ghosts”です。
クラブ系の楽曲では低音域が特に重要な役割を担っているのでその部分に注目して試聴してみました。Titanで試聴すると低音域のスピード感が高く、よりタイトに感じられました。低音域の惰性感、雑味が無くなる印象でした。それと同時に、低音の処理が甘いとキックなどがすぐに奥に引っ込んでしまうような感じでした。Titanできっちりと低音を出せれば現場で鳴らした時に想像してたよりも鳴っていないなどのトラブルは減るのではないかと思います。
まとめ
今回は、Prism SoundのTitanを導入したのでレビューシリーズの導入としてPrism Soundのインターフェースシリーズの紹介をお届けいたしました。
Prism Soundは基本的な設計を統一し入出力の数などの違いでラインナップを揃えているため、価格帯を気にせずどのインターフェースを購入してもPrism Soundの音を遜色なく手に入れられるようになっています。DTM中心で入出力数を多く必要としない方には「Lyra(ライラ)」シリーズ、プリアンプがある程度の数欲しい方、今後拡張したい方には必要に応じて「Titan(タイタン)」や「Atlas(アトラス)」という選択ができます。
Prism Soundの音は、脚色なしに音を出した瞬間に明確な違いがありました。「クリア」で「タイト」な音像、そして「奥行き感」が素晴らしかったです。それ故に、不都合な部分も見えやすいです。けっして何でも気持ちよく再生してくれる機材ではありませんが、高いクオリティの楽曲を再生した時の体験は非常に素晴らしく、プロフェッショナルとして音と向き合うには最高のオーディオインターフェースのひとつであると思います。
2022年9月現在、円高が進み各メーカーが価格改定で値上げを進めており機材の購入の負担が大きくなってきていますが、Prism Soundのインターフェースは値上げ前在庫が市場にまだ流通しているようなので、インターフェースのグレードアップなどを考えている方は今のうちに購入を検討をオススメします!
コメント