MPC X、 MPC Liveの発売以来、現行のMPCシリーズはファームウェアアップデートを続け、アップデート毎に多くの機能追加がされています。
この記事では最新のファームウェアv2.10で追加された機能と追加ソフトウェアシンセのインストール方法を解説します。
MPC 2.10アップデート概要
MPC V2.10はMPC X、MPC Live2、MPC One、MPC Studio、MPC2 Softwareで使用することができます。
追加機能は以下の通りです。
- クラス・コンプライアントUSBオーディオ・インターフェース対応
外部インターフェースを接続して最大32chの入出力が使用可能に
- 追加シンセエンジン
AIR Hype – AKAI Forceに収録されているマルチエンジンシンセサイザー
AIR Solina – 1974年に発売されたストリングスシンセARP Solinaのソフトウェアシンセ
AIR Mellotron – 1963年に発売されたテープを使用したサンプルベースシンセMellotronのソフトウェアシンセ
WayOutWare Odyssey – 1972年に発売されたアナログシンセ ARP Odesseyのソフトウェアシンセ
- ボーカル用インサートエフェクト追加
AIR Vocal Tuner – オートチューン・エフェクト
AIR Vocal Harmonizer – 最大4パートのハーモナイザー
AIR Vocal Doubler – Doublerエフェクト
- インサートエフェクト・プラグイン追加
AIR Half Speed – 再生速度を落とす事のできるエフェクト
AIR Stutter – グリッチ系エフェクト
AIR Diode Clipper – ディストーション・エフェクト
AIR Diffuser Delay(改善版)- ディレイ・エフェクト
Air Limiter – リミッター
AKAI Granulator – オーディオサンプルからグレインを抽出し、重複発音させるエフェクト
AKAI Sample Delay – オーディオの発音を遅延させるエフェクト
- プラグインやUIの改善
プラグインやインサートエフェクト、プログラムエディットのパラメーターがタッチインターフェースに対応
- FX Racks機能追加
チャンネルストリップの4つのインサートエフェクトのパラメータ設定を含む情報をプリセットとして保存可能に。
ジャンルや用途別のFX Rackプリセットのファクトリーライブラリを収録
- ドラムとキーグループプログラム機能の改善
-
- プログラムエディットのインターフェース変更
- Chopしたサンプルの後ろにテールを追加可能に
- エンベロープカーブをタイムステージごとにカーブパラメータで調整可能に
- ボリューム、パン、ピッチ、フィルター、サンプルオフセット、エンベロープの各パラメーターをランダマイズ可能に
- プログラムエディットメニューに8つのエフェクトスロットが追加
使用可能エフェクト
-
-
- Ring Mod
- Bitcrush
- Decimator
- Tube drive
- Soft Clipper
- Hard Clipper
- Lowpass
- Highpass
- Rectifier
- Wave folder
- Bass Enhancers
- Gain
-
-
- サンプルプレイパラメータにNote Offが追加
- キーグループプログラムにポルタメントタイム、クオンタイズ、レガートのパラメータが追加
- キー解析機能追加
メロディーなどを含むオーディオファイルを新たに読み込むと、自動的に解析、表示
- MIDIプログラムおよびCVプログラム機能の改善
MIDIコントロールの名前を変更可能に
任意のドラムパッドの操作を選択したCVポートに出力可能に
- ファイルブラウザの改善
詳細検索が可能に
サイズ、作成日、更新日を確認可能に
プラグインインストゥルメントのプリセットのみをメディアブラウザでフィルタリングして表示可能に
サンプルリストからパッドにドラッグでアサインが可能
- その他の改善点
MIDIメッセージの受信履歴確認機能追加
Undo履歴が確認可能に
ループ有効状態でShiftとStopを押すと再生位置がループ開始位置になる機能が追加
WifiメニューでWifiパスワードが確認可能に
MPC Oneがコントローラーモードの時に挿入されているSDカードにアクセスが可能に
パッドのノートマップエディットをした際にノートマップに付随するシーケンスイベントを一括更新可能に
プロジェクトを開いた際に最後に使用していたモードでプロジェクトが開くように変更
以上の通りかなり多くの機能がV2.10へのアップデートだけでも追加されています。
次に追加ソフトウェアシンセを使うためにインストールが必要となるのでインストール方法を解説いたします。
追加ソフトウェアシンセのインストール方法(スタンドアローン)
追加ソフトウェアシンセの解説の前に、V2.10で追加されたシンセはインストールを行う必要があります。MPCは内蔵ストレージに直接アクセスすることができないため、USBメモリ、SDカード、増設HDD/SSDにインストールを行います。
手順は以下の通りです。
①インストールに必要なデータをダウンロードする。
MPC X、MPC Live2、MPC Oneいずれかの日本語版製品ページへ移動し、下にスクロールをしてファームウェアダウンロードの項目までスクロールしてください。
“MPC 2.10 Synth Content”をクリックすると”MPC 2.10 Synth Content.zip”がダウンロードされます。
②解凍してMPCに接続するメディアに保存する
ダウンロードしてきた”MPC 2.10 Synth Content.zip”を解凍してください。
解凍して作成されたフォルダ内の”Synths”と名前のついたフォルダをそのままMPCに接続するUSBメモリ、SDカード、増設HDD/SSDのルート(一番上の階層)に保存します。
以上の手順で追加シンセがスタンドアローンMPCで使用可能になります。
インストールしたメディアがMPCに挿入されていないと追加ソフトシンセは表示されず使用することができないので注意しましょう。MPC X、MPC Live IIの場合は増設HDD/SSDに、MPC Oneの場合にはSDカードにインストールを行うと便利なのでオススメです。
追加ソフトウェアシンセのインストール方法(PC/Mac)
MPC 2.10アップデートはもちろんMPC2 Softwareにも施されており、MPC2 Softwareでも別途インストールを行う必要があります。
手順は以下の通りです。
①インストールに必要なデータをダウンロードする。
MPC X、MPC Live2、MPC Oneいずれかの日本語版製品ページへ移動し、下にスクロールをしてファームウェアダウンロードの項目までスクロールしてください。
“MPC 2.10 Synth Content”をクリックすると”MPC 2.10 Synth Content.zip”がダウンロードされます。
②解凍してインストーラーを起動してインストールを行う
ダウンロードしてきた”MPC 2.10 Synth Content.zip”を解凍してください。
解凍して作成されたフォルダ内のインストーラーをダブルクリックで起動してインストールします。
Windowsの場合
Install MPC Synth Content – Windows.exeを使用してください。
Macの場合
Install MPC Synth Content – macOS.pkgを使用してください。
*インストールを行う場合にはMPC2 Softwareを終了してから行ってください。
以上の手順でMPC2 Softwareでも追加ソフトウェアシンセが使用できる状態になります。
今回の解説はここまでとなります。
新たに追加されたソフトウェアシンセの詳しい解説はこちら
AIR Hype 解説(後編) →(作成中)
AIR Solina 解説 →(作成中)
AIR Mellotron 解説 →(作成中)
WayOutWare Odyssey 解説 →(作成中)
新たに追加されたエフェクトの解説はこちら
V2.10追加ボーカル用インサートエフェクト 解説 →(作成中)
V2.10追加インサートエフェクト・プラグイン解説 →(作成中)
コメント