MPCシリーズとFORCEには多くのソフトウェアシンセが収録されています。
今回は収録されているソフトウェアシンセの中からAIR Hypeの解説をします。
AIR Hype概要
AIR Hypeは、FM、Wavetable、Virtual Analog、Sampledの4つのサウンドエンジンを搭載したマルチオシレータシンセサイザーです。膨大なプリセットが詳細に分類された状態で用意されており、欲しいサウンドに素早くたどり着くことのできる強力なシンセサイザーです。多くのパラメーターや内蔵FXで自由に音作りもできますが、搭載されたマクロコントロール、コントロールダイヤルを使ってプリセットからストレス無くオリジナルの音色を作ることが可能です。
AIR Hype構成
AIR Hypeは一つのパッチで最大3つのシンセエンジンを使用することができます。シンセエンジンの種類はWavetable、FM、Virtual Analog、Sampleの4種類から選択できます。
シンセエンジンの組み合わせは、手動で変更することができないので各組み合わせのイニシャライズパッチを読み込んで音作りをすることになります。
AIR Hypeには多くのパラメーターが搭載されており、カテゴリー毎に5つの画面に分けられています。
【Macro】
Macro画面はHypeを起動した際に一番はじめに表示される画面です。この画面ではHypeのマクロコントロールや基本パラメーターのコントロール、エフェクトのON/OFFができます。
【Filter/Amp】
Filter/Amp画面ではFilterとAmpのコントロールが集約されています。それぞれのエンベロープなどの細かな調整はこの画面で行うことになります。
【Effects 1】
Effects 1画面では搭載されているエフェクトのうち、LFO、モジュレーション、ディストーション、Hypeの調整が集約されています。
【Effects 2】
Effects 2画面ではディレイ、リバーブ、コンプレッサー、Pumper、リミッターの調整が集約されています。
【Setup】
Setup画面ではトランスポーズやグライドなどの音程関連、DelayとReverbのWetレベルとMIDI関連の設定が集約されています。
Macro
Macro画面はHypeを起動した際に一番はじめに表示される画面です。
画面左側がオシレーターのコントロールを含むマクロになっています。このマクロはコントロールがベースとなっているイニシャライズパッチによって固定されています。
右側のノブ類はシンセサイザーの音作りでよく使用されるパラメーターが集められています。画面右側のコントロールダイヤルで操作できるパラメーターは以下の通りです。
Cutoff | FilterのCutoffの調整
Filter / AmpのFilter Cutoffと連動しています。Cutoffのポイントが変化します。 |
Reso | Filterのレゾナンス調整
Filter / AmpのFilter Resoに連動しています。 フィルターのカットオフポイントの強調量が変化します。 |
Mod | モジュレーション量の調整
Effects 1のModのMixに連動しています。 |
Distortion | ディストーションエフェクト量
Effects 1のDistortionセクションにあるMixに連動しています。Distortionのかかり具合の調整ができます。 |
Delay | ディレイエフェクト量
Effects 1のDelayセクションにあるMixに連動しています。Delayの掛かる量が調整ができます。 |
Reverb | リバーブエフェクト量
Effects 2のReverbセクションにあるMixに連動しています。Reverbの掛かる量が調整ができます。 |
Pumper | パンパーエフェクト量
Effects 2のPumperセクションにあるDepthに連動しています。Pumperエフェクトでの音量の下がる量が調整ができます。 |
Master | マスターボリューム |
一番右側に表示されているのはエフェクト類のON/OFFスイッチで、搭載されている8種類のエフェクトのON/OFF操作ができます。このON/OFFスイッチは全画面固定で表示されています。
Filter / Amp
Filter / Amp画面は2番目のタブ画面です。
画面左側がフィルターのCutoffとReso、アンプのSpikeとDecayのコントロールとなっています。
真ん中にはフィルターエンベロープ、アンプエンベロープ、エンベロープが配置されており、一番左は全画面共通のエフェクトON/OFFスイッチが表示されています。
操作できるパラメーターは以下の通りです。
Filter | Cutoff | Cutoffポイントの調整 |
Reso | Filterのレゾナンス調整
Cutoffポイントの強調量が変化します |
|
Filter Envelope | Attack | フルレベルになるまでの時間設定 |
Decay | サスティンレベルになるまでの時間設定 | |
Sustain | サスティンレベルを維持する長さ設定 | |
Envelope Depth | Cutoffに対してのFilter Envelopeが与える影響量設定 | |
Envelope Velocity | ベロシティーがFilter Envelopeに与える影響量設定 |
Amp | Spike | アタックにベロシティを追加 |
Spike Decay | スパイクが減衰するまでの時間 | |
Amp Envelope | Attack | フルレベルになるまでの時間設定 |
Decay | サスティンレベルになるまでの時間設定 | |
Sustain | サスティンレベルを維持する長さ設定 | |
Release | リリースしてから音が消えるまでの時間 | |
Fade | サスティンレベルに追加される影響量設定 | |
Velocity | ベロシティーがAmp Envelopeに与える影響量設定 |
Effects 1
Effects 1画面は3番目のタブ画面です。
この画面では左からLFO、モジュレーション、ディストーション、Hype、エフェクトON/OFFが表示されています。
真ん中にはフィルターエンベロープ、アンプエンベロープ、エンベロープが配置されており、一番左は全画面共通のエフェクトON/OFFスイッチが表示されています。
操作できるパラメーターは以下の通りです。
LFO | Rate | LFO のスピード調整 |
Sync | LFOのSync方法設定とON/OFF | |
Depth | LFO モジュレーションの適用量 | |
Mod | Rate | モジュレーションの適応量調整 |
Adjust | Wetのオフセット時間設定 | |
Depth | モジュレーションの深さ調整 | |
Mix | モジュレーションの適応量調節 |
Distortion | Drive | ドライブの適用量調整 |
Bias | 真空管パワーアンプへの電圧量調節を再現 | |
Output | アウトプットの音量調整 | |
Mix | エフェクトのウェット/ドライ調整 | |
Hype | Low | 低音域の減衰と強調を調整 |
Low-Mid | 中低音域の減衰と強調を調整 | |
Hi-Mid | 中高音域の減衰と強調を調整 | |
High | 高音域の減衰と強調を調整 |
Effects 2
Effects 2画面は4番目のタブ画面です。
この画面では左からディレイ、リバーブ、コンプレッション、Pumper、エフェクトON/OFFが表示されています。
操作できるパラメーターは以下の通りです。
Delay | Time | ドライシグナルとディレイシグナルの間の時間 |
Feedback | ディレイラインにフィードバックされる信号量 | |
Freq | ディレイのフィルター・カットオフ周波数を調整 | |
Mix | ディレイエフェクトのウェット/ドライ量 | |
L/R | 左/右ステレオフィールドのディレイ設定 | |
Reverb | Pre-Delay | ドライ信号と反響音の間の時間 |
Time | リバーブテールの長さ | |
Mix | リバーブエフェクトのウェット/ドライ量 |
Compressor | Threshold | コンプレッサーが効き始める音量 |
Ratio | コンプレッションの比率 | |
Attack | Thresholdを超えてからコンプレッションが掛かるまでの時間 | |
Output | コンプレッション後のアウトプットレベル | |
*Pumper | Rate | エフェクトの速度 |
Depth | エフェクトの減衰量 | |
Release | エフェクトが解除される時間の長さ | |
Limiter | Drive | リミッターエフェクト後に加えるドライブ量 |
*Pumperはサイドチェインを再現するエフェクトです。指定した速度/周期で音量が下がります。
Setup
Effects 2画面は5番目のタブ画面です。
この画面ではHype全体の基本設定や、MIDIコントロールの設定ができます。
操作できるパラメーターは以下の通りです。
Setup | Transpose | 半音単位での移調 |
Tune | セント単位での音程調整 | |
Glide Time | 次に演奏される音にスライドするまでの時間 | |
Glide Mode | グライドの切り替え | |
Mode | ポリフォニック/モノフォニックの切替え | |
Del-Rev | ディレイとリバーブのレベル | |
Master | 出力レベル |
MIDI Control | ||
Mod Wheel | Destination | Mod Wheelがコントロールするパラメーターを変更 |
Depth | モジュレーション適用量の調整 | |
LFO | モジュレーションをControl LFO と連動 | |
After Touch | Destination | アフタータッチでコントロールするパラメーターを変更 |
Depth | モジュレーション適用量の調整 | |
LFO | モジュレーションをControl LFO と連動 | |
Control LFO | Sync | Control LFO sync のon/off |
Rate | Control LFO のモジュレーション速度を変更 | |
Shape | Control LFO の波形を変更 |
以上がHypeの各画面の解説となります。
オススメの使用方法としては、プリセットが充実しているのでイメージに近い音色をプリセットから探し、そこから微調整などをして自分の音色に変えていくのがオススメです。
後編ではHypeに用意されているオシレーターの組み合わせと音作りの解説をいたします。
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